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【けものフレンズ】たつき監督の中国「二次元未来峰会」 参加者レポート全文翻訳まとめ

たつき監督, まとめ, 海外 (103)


自分が正しいと思うものを作る たつき監督の北京でのイベント記録


今日は北京で3つのイベントとJYアニメーション(中国のアニメ会社)共催の2つのアニメ監督イベントが行われ、午前は「けものフレンズ」のたつき監督、午後はアニメ「進撃の巨人」、「デスノート」の荒木哲郎監督が参加した。たつき監督は限られた時間での参加だった。海外イベントに参加するために20年ぶりに日本を離れるたつき監督は、イベントにおいて自分の創作方面についての方法論と大きな真実を語った。
たつき監督が掲げるコンセプトの核心は、「自分が好きなものを作り、自分が正しいと思うものを作る」である。

まず、このイベントにはJYアニメーションが雇った2人の通訳がいて、1人は女性の日本語通訳、そして1人はJYアニメーション副社長の通訳だった。たつき監督は日本語で交流ができ、2人の通訳はたつき監督視点のより完全な翻訳をした。イベントの初めにたつき監督は少し緊張したが、2人の通訳の助けを借り、中国のアニメに関するいくつかの質問をした。イベントの開会式ではたつき監督も特別に「你好」と言ったが、自己紹介のときは比較的声が小さく、より緊張しているように感じられた。

現場での録音と記憶に頼っているため、質問に関して齟齬が生じることがあります。




Q1. 「けものフレンズ」は驚くべきストーリーの完全性です。アニメーション制作過程では、どのように本物の動物のデータと本編とを組み合わせたのですか?

たつき監督:私たちのアニメーションスタイルでの脚本制作は独特のものです。「けものフレンズ」の脚本は一度に書くのではなく何度か修正されました。実際の動物についての資料は先に準備されていたのですが、脚本は途中でも書き込みや削除が行われました。この点は他の企業の脚本とは異なります。

JY副社長は「国内外の動物園飼育員による動物解説は、他の動物の説明付きアニメとは違うのでは」という追加質問をした。

たつき監督:アニメの中での動物解説は自分のアイデアから生まれたものです。「けものフレンズ」は他のアニメとは異なり、視聴者に実際の動物園に赴いて動物を見てほしいからです。


Q2. 視聴者の共鳴を引き起こした「けものフレンズ」の伏線はどのように構想しましたか?

最初の質問の繰り返しになりますが、伏線を張るというのは創造的なプロセスです。共鳴については、アニメ、漫画、ゲームが好きな視聴者側の視点から入り、自分だったらどういう要素が好きかということを考えて入れるわけです。「けものフレンズ」は私がやりたかった内容でしたが、当初はここまで人気になるとは思っていませんでした。 ACG(Anime/Comic/Game)作品は私も好きで、制作者であると同時に消費者でもあります。


Q3. 「てさぐれ!部活もの」から「けものフレンズ」まではCG技術を用いて作られていますが、 CG技術が好きな理由はなんですか?また、CG技術における監督の強みや、生産性における特徴はなんでしょうか?将来における日本のアニメーションCG技術は補助的なものにとどまるのでしょうか?それとも日本の重要なアニメーション技術になるのでしょうか?

たつき監督:アニメを作る上では、実際は2Dと3Dのどちらでもかまいません。私は個人的には2Dが好きですが、私がやりたいことはCGに最も適しています。CG技術は実際には使いにくく、私もまだ模索中であり、CGにおける私独自のものというのはまだ持っていません。しかし、私とCG技術の相性は比較的良いです。日本では従来の2Dアニメは50年以上の歴史を持っていますが、CG映像制作においてはまだ改善の余地が大きいです。CG技術自体は従来の2Dアニメにも貢献しています。監督とアニメーターの参考になるよう、3次元モデリングを示すこともできたりします。

CG技術は補助的かつ重要な技術の両方であり、ここ2~3年の間にアニメでもCG技術を用いた多くのイメージが作られました。アメリカのアニメで使われているCG技術と同じくらい、日本でもアニメにおいてこれからますますCGが使われるでしょう。しかし、日本では伝統的な2Dの手描きアニメがまだ大部分を占めています。日本の2Dアニメーターは非常に洗練された技術を持っているので、将来的にはCGと従来の2Dアニメが半分半分になるでしょう。私も2Dアニメのコマ感が好きなのでCGアニメーターとしては複雑な心境ですが、日本のCGアニメが2Dアニメを脅かす存在になることを期待しています。

(たつき監督は、今日のイベントにおいて「中国にはアメリカ式の3D作品と日本式の2D作品がある」ことがわかったので、JY副社長に中国では2Dと3Dどっちの作品が多いか尋ねた。)

JY副社長:中国ではこれまでは比較的3Dが多かったです。 元々国内テレビ放送は子供向けのオモチャを売るために3Dアニメが多かったのですが 、そういった生産コストや周辺の開発コストにおいて、3D技術の使用は比較的把握しやすく好まれていました。 しかし、最近の中国のネット配信アニメは2D技術によるものが増えてきました。アメリカ風の作品が多く、ハリウッドとディズニーの影響を多く受けてると言えます。

たつき監督:このような状況(中国のネットアニメは2Dが多い)のなかで、「けものフレンズ」のような少し特別なCGアニメが中国の視聴者に歓迎されたことは意外でした。「けものフレンズ」のCGとこれまでのCG大作はやはり違うものだからです。


Q4:以前は、毎月たつき監督によって、サークル制作の自主短編アニメがアップロードされていましたが、どのように制作時間を確保していましたか?また、「けものフレンズ」制作中はどのような手法で素早くアニメを作っていましたか?

毎月短編アニメを制作した理由は、テレビ放送のアニメとは別のアニメ作品を作りたいと思ったからです。そのため、短時間で作れる短編アニメをネットにアップしていました。短編アニメといっても、作り方は普通のアニメと同じです。ただ、短編ではある部分は時間を短縮したり、逆に時間を長くするといったことをチームでしていました。「けものフレンズ」の作画監督は業界でもベテランですが、他のアニメ会社では募集で集まってきたアニメーターが一つの作品を作るために、さまざまな場所からやってきてアニメを作ります。しかし、「けものフレンズ」のアニメ制作は何年も一緒にやってきたパートナーと行ってきました。だから、生産効率とコミュニケーション効率が良いのです。


Q5:「けものフレンズ」はたつき監督のデビュー作ですが、このアニメにおいてどのような困難と挑戦に直面しましたか?

アニメ監督はアニメを管理・統括する立場にありますが、「アニメをより面白くしよう」ということを常に心に留めておくべきです。アニメ制作には膨大な制作工程があるので、コミュニケーションが非常に重要です。「けものフレンズ」のアニメ制作においては、あらゆる面で非常にスムーズなコミュニケーションが取れました。


Q6:たつき監督は以前Twitterでアニメーターを募集していましたが、新しい作品についていくつかのアイデアを明らかにしていただくことはできますか?

たしかに、私は新作アニメを作りたいです。中国ではツイッターの内容を見ることができますか?(たつき監督のTwitterアカウントに返信(あるいは反応?=リツイート?)したことがあるかを聴衆に尋ねたところ、多くの人が手を挙げた)

制作者募集についてですが、実際のところ原画と美術アニメーター両方が人手不足です。Twitter上では中国からの返信もありましたが、このように国境を越えて連絡を取り合うとは思いませんでした。新作アニメについてはもう少しお待ちいただきますが、自分の趣味にもっと偏っています。


Q7:たつき監督はこれからどのようなジャンルに進んでいくのでしょうか?「けものフレンズ」のような荒廃した世界観を持ったアニメを作りたいですか?

やはり自分はアニメを作りたいですし、もっと活躍したいし、これからもずっとアニメを作っていきたいです。荒廃した世界観は好きで、これからもそのような作品を作りたいですが、そのような荒廃した作品でよいのでしょうか。自分の作品のインスピレーションは、乗り物に乗っている最中に考えます。思い浮かんだアイディアはすぐにメモを取るようにしていて、今回の中国に来る途中にもいくつかの考えが浮かびました。

JY副社長:私は監督が新しいインスピレーションを得られることを願っています。

たつき监督:北京に来る途中にも、将来活かせるかどうかはわかりませんが、すでにいくつかのアイディアが浮かんでいました。そして今回、中国へ来て発見したのは、中国の道路がおもしろいということです。運転席の位置が日本と違うことや、アグレッシブな運転手、観光名所も日本とはだいぶ違うところに興味を引かれました。今回の北京は20年前のネパール以来の海外活動です。子供の頃はしばらくアフリカに住んでいましたが、この20年はずっと日本にいました。


Q8:プロデューサーはたつき監督のことを「息抜きにアニメを作る人」と言っていましたが、商業アニメと同人アニメの関係において、どのように仕事と個人の趣味のバランスを取っていますか?

それは、(今、下に座っている)福原慶匡プロデューサーの私に対する評価ですね。商業アニメと同人アニメの関係は、実際には補完的です。同人は商業アニメを促進し、商業アニメは同人の創造を刺激するというふうに、2つの関係は人間における2本の足のようなものです。最近の自分自身のアニメ制作に不満はありません。商業アニメは限られた時間内で作らなければならず、さらに企画参加者の利益に寄与しながら作品を面白くしなければならないという条件がありますが、それが商業アニメの性質であるため不満はありません。一方、同人アニメは時間の制限もなく自由に制作でき、商業作品制作の前の一つのトレーニングとして用いることもできます。ただ、今この場に中国のアニメーターがどれくらいいるかわかりませんが、アニメ制作は自分自身の許容量を超えないようにしてください。


Q9:たつき監督の勉強と仕事においては、どのような作品の影響を受けていますか? また、好きな作品やアニメーターを教えてください。アニメ監督として成功するには、どのような素質が必要でしょうか?

私は非常に多くの人の影響を受けていて、今ここで例を挙げるのは難しいですが、漫画やゲームの影響がより大きいです。漫画・ゲーム好きがアニメを作っているという感覚があり、いくつかの漫画を読んだ後はその影響でやる気になることもあります。

たつき監督は、「日本では深夜アニメが放送されていますが、中国には固定された時間でのアニメ放送はありますか?」と尋ねた。

JY副社長:中国のテレビアニメは一般的にプライムタイムに放送されますが、中国のネットで配信される一部の日本アニメは日本と同時に放送される作品もあります。あるいは、日本で放送された直後に配信されたりします。

たつき監督:私は毎日仕事を終え、満員電車に揺られながら家に帰ってきてテレビをつけますが、堅苦しいアニメは見たくないので、適切な時間を作って自分に合う作品を見るようにしています。

アニメ監督にはどのような素質が必要かということですが、私はまだ有名監督になりたいと思っている新人監督ですし、また、業界人の一人としても、どのような素質が必要かを述べるのは難しいです。私は自分の好きなアニメ作品を作っていますが、難しい題材でも質の高い作品を作る人もいます。

「けものフレンズ」のアニメ第1話が放送されたときは、日本、韓国、中国、台湾のネットであまり反響はなかったものの、第3話からいきなりブレイクしました。最初のブレイクは日本だったかも知れませんが、中国、韓国でも第3話から人気が沸騰し、この点に関しては、ヨーロッパやアメリカに比べて中国や韓国などのアジア諸国の視聴者の好みは日本の視聴者の好みと似ていると思いました。
少し前に中国や韓国から手紙が来ましたが(さらにその前にいくつかの悪い事が起こりましたが)、視聴者は依然として励ましの手紙を送ってきてくれます。
私は自分が正しいと思うことをやり通しますし、自分が正しいと思う作品を作ります。前を行く先輩たちに追いつきたいと思っていますし、初心を忘れずに同人アニメも作り続けていきます。
今回はこのようなイベントを中国で開催していただきありがとうございます。中国のファンとの交流はとても楽しく、日本であったさまざまなことを一瞬忘れてしまうほどでした。このような機会は非常に貴重で、大変感謝しています。

イベントの最後には予定外のサイン会が行われ、ファンの中には「けものフレンズ」ガイドブックに監督のサインをもらってからJYアニメーションのサインをもらう者もいた。 たつき監督がファンに贈るサインは非常に小さく、公式ガイドブックの右下の角に自分の名前を書き込んだ。

http://www.acgdoge.net/archives/23250



たつき監督は北京への旅行で20年ぶりに日本を離れた。ネパールへの最後の海外旅行は20年前。子供の頃はしばらくアフリカに住んでいた。たつき監督は自分が正しいと思うことをするし、正しいと思う作品を作る。アニメ業界の一人の新人監督として先輩に追いつきたいと思っている。初心を忘れず、同人作品を作り続ける。中国と韓国のファンからの手紙を受け取った。いくつかの悪いことが起こったが、ファンは手紙を送って監督を励ます。 最後に、たつき監督はこの中国でのイベントと中国のファンとの交流は非常に愉快で、日本でのことを忘れるほどだと感想を述べた。

https://www.weibo.com/3594172235/FAF0rnvyY



上記リンク先からそれぞれ翻訳。



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